EGFのヘッド各部に関する観察(おやじレポート by グレコおやじ) 今回はEGFモデルのヘッド部を詳細に観察していく。まず全体の形状について'79年の登場から'80年最初期の製品では、従来のEGモデルと同型でシェイプはやや細長く、頂点からナットまでの長さが17.9cm、上部の幅は7.6cm、1弦と6弦のペグポストの中心とロッドカバーの上部ビスが、ほぼ同一線上にあるのが特徴である。 このタイプのEGFモデルはシリアルナンバーで0800番辺りまで製作さているが、0400番辺りからはすでに次期スモールヘッドへと変更が始まっており、2種類の混在する期間がある。 変更を受けたスモールヘッドは頂点からナットまでの長さが16.9cm、上部の幅は7.6cm、ロッドカバーの上部ビスは1弦と6弦のペグポストの中心よりも上がった位置となり、以後はこの形状がEGFモデルの標準型ヘッドとなる。
左が初期型細めのヘッド(長い)。右が後の標準タイプ
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ヘッド突板について初期の細長ヘッドでは旧型のセル板を使用しており、この部分にメイプル板が使用されたのは新型スモールヘッドになってからのようだ。 突板の厚さはセルで1.8mm、メイプル板では2.0〜2.2mmとなっており、廉価版のEGモデルからEGFの上位モデルまで、スモールヘッド化以後は突板にメイプル板が使用される。 例外なのか一時的な特定ロット製品だけなのか不明だが、スモールヘッドでもセル突板のギターが存在している。 狛江のグレコマニア氏所有のEGF2500と私のEGF1800の2本がそうで、この2本は店頭販売されたものではない事情がある。 この仕様に特種な理由があるのか、'80年の短期間にだけある一過性の仕様で他にも多数あるのかなど詳細は、サンプル数が少ないため今だ不明でる(参考にならず申し訳ない)。 ヘッド側面から突板断面を見ると表面同様黒色にペイントされているが、ミンコレ中期になるとヘッド表面のみ黒色のペイントで、突板断面はバックと同色になりメイプル板の状態が容易に確認出来るのだが、段々と細部の手間を省いて行った様にも感じる。
下側が古く上が新しい突き板断面
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ナット部から見える構造に注目
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次に「Greco」のブランド・ロゴを見るが、これも数種類あり、初期の細長ヘッドには従来のEGモデルと同じロゴ・スタイルが使用されたが、EGF1800のみ旧EG1200と同じ少し太いロゴが斜めに入る(この時点でEGF1200は未発表)。 '80年のスモールヘッドではEGF1000以下に細めのロゴ、EGF1200以上では太めのロゴが斜めに入るのだが、後期でシリアルNo.8000番前後ではEGF850/1000でも太いスタイルのロゴが入った物が存在する。 '81年になるとロゴ・スタイルはまた変更になり、中期辺りにはEGF各種共通で'80年の細いロゴと太いロゴの中間値のようなロゴが使用された。 その後O切れロゴになった所でスーパーリアルモデルは終了の段を迎えていく・・・。
1980年の細いロゴの例(上) 廉価版では文字が傾かない物が多い(下)
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1980年のEGF1200以上に多い太いロゴ(上) 1981年中期からはやや細くなる(下)
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ヘッド周りのパーツにはペグとロッドカバーがあるが、使用されているクルーソン・タイプのペグには2年間で4種類の仕様があった。 '79年:旧パーツである2コブのナット締めタイプ→'80年:1コブのナット締めタイプへと変更があり、このタイプがEGFとして一番長く使用され'81年中期まで見かけるのだが、'80年後期には通常のブッシュ・タイプへの変更が既に始まっている。 しかしペグポストのトップは旧型同様丸いままで、'81年中期になり平坦なトップへと変更となる。 ミンコレ以降もこのタイプが使用されたが、ペグ背面に刻印されたGRECO DELUXEの刻印は何時しか無くなっていく。
旧型2コブと後の1コブ型(ナット式)
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構造を含め右側が新しい(ブッシュ式)
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ロッドカバーはギブソン社コピーの釣鐘タイプと、'81年以降使われた肩の張ったタイプの2種類があるのだが、移行期が'80年後期から'81年中期とやたら長く、この時期は両タイプがランダムに取り付けられているようだ。 しかし取り付け位置はEGFとして'79年から変わっておらず、ナットとロッドカバーの隙間が約5mm(中にはナットに合わせる製作者もいたようだが)となっている。
以上ヘッドについてレポート致しましたが、皆様が所有のEGFはどのタイプでしょうか? 次回はネック・指板・フレットをレポート致します。
(一部の画像はクリックすると拡大されます)
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