これは1977年秋に発表された部品。ごく少数のGOll700とBW600に搭載されて販売されたが、実際に触れたことのある方は少ないはずだ。GOB〜GOBll初期型にはテンション・アジャスターという部品が存在し、名称についてさえ曖昧な印象が否めない。各弦を個別に「テンション調整」しようというコンセプトは、外観を見れば即座に理解が出来る。さまざまな状況から、GOllは開発途中からT.S.ビブラートを採用した気配があり、こちらの固定ブリッジが元々GOllの音作りに重要だったようだ。T.S.ビブラート搭載機とは、かなり違った印象の音を作り出すのが大きなポイントだろう。 |
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| 上の画像にはブリッジ/テールピース回りにある全ての金属部品が写っており、総重量は705グラムという信じられない数値に達する。「本体ブロック」だけで432グラム、ブリッジ(GO−DN)が89グラム、「テールピース駒」が1つで23グラムと計測した。GO前期型ではサスティーン・ブロックがお馴染みだったが、その狙いはテンション・アジャスター・ブリッジでさらに強力に意識されたのだろう。 |
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| このユニットで普段目に触れる部分はプレス板のような印象だが、裏面からみれば非常に強固な「ブロック」であることが理解できる。「肉抜き」とも考えられる部分が多々あるのは、これ以上の重量ではギター全体のバランスを崩すと判断されたのだろうか。このユニットは背面から2本のボルトでボディに取り付ける構造だが、キャビティはややルーズで取り付け方によっては位置が僅かにズレる傾向を感じた。 |
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| 取り付けボルト用にはボディ背面から段付き穴が開けられ、大型のブッシュがあてがわれる。T.S.ビブラートは営業上の理由から急遽採用されたと考えられる面が強く、トレモロ・キャビティでスルーネックを切ってしまうのは、当時としては異例に大胆な発想だった。今日ではスルーネック/フロイド・ローズ・トレモロは当たり前の組み合わせとなったが、主流になり得なかった「ケーラー」や「アンサー・シフト2001」などの方が、構造としては好ましかったと感じる向きも少なくあるまい。テンション・アジャスター・ブリッジのGOllを弾くと、ビブラート搭載機より遙かに力強く鳴ってくれると即座に気がつくはずだ。 |