GO1400(1978年)


指板を除く木部の全てが、ブラックに仕上げられたGO1400。これはB78(1978年2月期出荷)の製造番号を持ち、カラー以外は「ほぼ」カタログ通りの仕様になっている。ピックアップカバーのプラスチックが黒である点は、ギターグラフィックVol.5の「グレコ特集」に掲載されたもの(スルーネック部はナチュラル仕上げ)と共通だ。当時のグレコには「マイナーチェンジ」と呼ばれたシステムがあり、顧客からの要望に個別に対処可能だった。塗色の変更はレギュラー品の価格から20%増し、他モデルを含めたカタログ掲載の色から選んで指定することが条件となっていた。初代オーナーの方が当時のことをはっきりと覚えており、購入価格は「定価の通りだった」とのこと。14万円の20%増しと、ハードケース1.1万円の合計から割引があったのだろう。ここで注目すべきは出荷時期である。オーダーギターは、一般に3ヶ月以上の納期を要する。塗色の変更だけなので、完成木部を通常の生産ラインから外し黒に塗ればよいだけだが、前月新発売のモデルをベースとする特注が、次月に完成出荷されたのには驚きを感じてしまう。これには秘密があり、初代オーナーは注文時にGO1400の現物を見たことがなかったそうだ。諸雑誌の前年12月号にあった広告を見た上で、他人と同じギターでは満足できないとの気持ちから特注をかけたという。この時点で早くもブラスナット仕様が廃されている点は興味深いが、どうもこのギターだけが例外のようだ(別項の「戸籍簿」参照)。 さらにVol.9カタログのGO1400は21・24フレットにインレイがない。この点がラミネートナットであることと共に、文頭に「ほぼ」と書いた要因だ。初期のG0シリーズは本当に仕様の変化が激しい。カタログによればGO1400のボディはセン/メイプル/センのラミネート構造アーチドトップ。ネックはメイプル/ウォルナットの7ピース・スルーネックだ。木部の構造は塗装の痩せからカタログ通りと伺い知れる。指板は縞エボニーで、独特の特徴ある質感のものだ。この個体では製造番号の記入方法がやや珍しく、ヘッド裏に小さなアルミプレートが張り付けられ、ポンチで打刻された番号が入れられている(1977年末から78年初頭に少数見られるようだ)。コントロール・ノブの「イバニーズ・シュアグリップ」だが、このギターについては細字タイプ。全体にかなり重いギターで重量は4.8Kg(弦・電池込み)に達している。




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